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2016〜2017 はたらいくの転職市場予測

サービス・飲食職の市場動向

景気回復を背景に、市場規模が拡大。インバウンド需要やO2Oなど、多様化するビジネスモデルに対応できる人材需要がアップ。


サービス・飲食職の転職市場予測

サービス・飲食業界では、アベノミクスによる景況感の影響や、家事の省力化ニーズの増加により、宅配弁当や惣菜の販売を行う中食産業の成長が目立ちます。外食市場では、衛生面の不安や円安に伴う値上げなどでファストフードの業績回復が厳しい一方、ファミリーレストランや焼き肉屋など、客単価の上昇および提供するサービスの向上に努めている業態の業績が好調です。
サービスの低価格化で集客を図る薄利多売ではなく、「顧客が満足できるものを提供し、客単価を上げられるか否か」が明暗を分けている市場といえるでしょう。
2016年1月の「飲食物調理の職業」の求人倍率は2.50倍で、「接客・給仕の職業」では2.58倍となっています(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。つまり依然として、転職者にとって売り手市場のため、より自分に合った企業を選びやすい状況です。また、サービス・飲食業界は、慢性的な人手不足の改善のため、労働環境の刷新や、アルバイトからの正社員登用、積極的な中途採用など、人材の確保と育成に力を入れている業界でもあります。たとえば大手ファストフードや居酒屋チェーンではシフト編成の見直しや給与水準の引き上げなど、人材の定着率の向上をはかる取り組みがなされています。ホスピタリティの高いスタッフの育成と、多様化するビジネスモデルへの対応が求められている市場です。


サービス・飲食職に活かせる経験

サービス・飲食職は新規事業者の参入が多い業界であることもあり、他業種と比べて、中途採用でも未経験者歓迎の求人が多くあります。ビジネスマナーや企業ビジョンへの理解・共感などがあり、かつ社会人としての基礎をふまえたうえで積極的に仕事に取り組む人材が求められることもあります。なお、仕事への意欲や人柄、積極性が重視されやすい職種ですが、接客のアルバイト経験や飲食店の経営経験など、即戦力になるスキルがあればなお好ましいでしょう。サービス・飲食職では刻々と変化する顧客ニーズに対応するため、各店のマネジメントを行える人材へのニーズも高まっています。従業員のシフトの最適化、オペレーションの改善、マニュアル作成など、店舗の業務効率を更新できるマネジメントスキルがある場合は積極的にアピールしてみましょう。スマートフォンの普及により、ネットからオフラインの集客につなげるO2O(Online to Offline)が今後も増加すると予想されます。ネット上でのサービスを実店舗の従業員に共有するフローなど、オンラインとオフラインをつなぐ導線のデザインができる人材は、特に重用されやすいでしょう。多様化する顧客ニーズを理解し、積極的に業務に関わっていく姿勢が好まれやすい業界です。


サービス・飲食職で求められる人物像

サービス・飲食職は、従業員同士のコミュニケーションが欠かせない職種です。よって、業務を円滑に進めることができる高いコミュニケーション能力や、現場のマネジメント能力が求められます。加えてお客様との接点も多いため、第一印象を重視する職種でもあります。見た目の清潔感や人当たりのよさ、マナー意識、おもてなしの姿勢など、ホスピタリティの高い人材が求められる職種です。とっさのトラブルに対応できる柔軟性や、クレームに対応する交渉力があれば尚よいでしょう。また、アジア圏を中心とする訪日外国人旅行者の増加により、外国語(英語、中国語、韓国語)での接客ができる人材の需要も増加しています。美味しい日本食とサービスを求めて訪日する外国人旅行者への対応、スタッフの育成、労働環境の改善など、店舗の経営について総括的に理解することができる人材が重用されやすいでしょう。よりよい店づくりのために自発的に提案をすることで、店長などの経営側に登用される可能性もあがります。

今注目のキーワード

中食

中食とは、調理済みの料理を家庭に持ち帰って(あるいは宅配してもらって)食べる食事形態のことです。店頭で購入する惣菜をはじめとして、ネットや電話を使って注文する弁当や宅配ピザなどが該当します。現代日本は高齢化、消費税の増税などの影響を受け、外で食事をする「外食」市場が縮小傾向にあります。一方、家庭で家族と一緒に、手料理とあわせて食べられる「中食」のニーズは高まりを見せており、市場規模も徐々に拡大しています。「中食」への需要増は今後も継続すると予想され、メニュー等の食品商品開発をはじめ、販売員や宅配スタッフなど、中食産業に携わる求人も増えています。食の安全や健康志向、調理の簡略化など、多様化するニーズをくみ取り、お客様に満足してもらえるサービスを発案・提供できる人材が重用されるでしょう。

O2O

O2O(Online to Offline)とは、ネットを起点にしてオフラインでの購買を促すマーケティング方法のことです。フードビジネスに際して例をあげると、「ネットのグルメサイトで食事の予約がとれるようにする」「ネットで割引クーポンを配布し、店舗のリピーター・新規客を増やす」「ネットで事前にメニューを注文・決済をし、店舗での待ち時間を少なくする」等の流れを指します。インターネットおよびスマートフォンの普及により、O2Oのビジネスモデルは企業の収益を左右する大きな柱になりつつあります。顧客が快く使用しやすいアプリケーションやサイトの構築をはじめとして、より費用対効果の高いO2Oの提案、ネットと実店舗のサービスの連携改善など、積極的にO2Oに関する知識を蓄え、提案できる人材が好まれやすいでしょう。

インバウンド需要

インバウンド需要とは、訪日外国人旅行者の消費行動のことを指します。日本政府観光局の訪日外国人消費動向調査によると、2015年の訪日外国人旅行者の消費額は年間で3兆円を突破。前年に比べて、一人あたりの旅行支出、年間消費ともに大幅な増加傾向にあります。このインバウンド需要の中で特にニーズが高まっているのが、サービス・飲食業界です。訪日外国人旅行者の旅行支出では、買い物代に続いて宿泊費、飲食費が上位を占めています。訪日外国人向けのサービスをはじめとして、現場で対応できるスタッフの育成・登用が求められているといえるでしょう。なお、訪日外国人旅行者の半数以上は中国・韓国・台湾などのアジア圏から訪れているため、英語、中国語、韓国語などの外国語を話せる人材が重用されます。

働く環境・条件の改善

サービス・飲食職は競合の激しさや人材不足などにより、スタッフ一人あたりの負担が大きくなりやすい業界です。顧客へのサービスを重視する職業柄、大型連休中の出勤やクレーム対応が発生しやすいことなどから、若い世代の業界離れが懸念されています。しかし一方で、より長く働きやすい環境づくりのために、福利厚生の整備に力を入れる企業も徐々に増えています。アルバイトスタッフの正社員登用、24時間営業の廃止など、従業員のワーク・ライフ・バランスを重視した店づくりに取り組むことで、人材の定着率の向上や、労働環境の改善を図る試みです。労働環境の改善には、雇用側の姿勢だけでなく、スタッフ同士の協調性も必要となります。サービス・飲食職では、従業員の一員として他のスタッフと積極的にコミュニケーションをとり、職場のモチベーションを高められる人材が重用されるでしょう。

オペレーション改善力

サービス・飲食職は人材が流動的に入れ替わりやすいことから、業務内容のマニュアル化・最適化が欠かせない職種です。また、事業の立ち上げ時からスタッフとして携わる場合は、一からオペレーションを構築し、事業の効率化をはかる必要もあります。いずれの場合においても業務フローの課題や顧客サービスの問題点を洗い出し、改善していける「オペレーション改善力」を持つ人材が求められやすいでしょう。オペレーションの改善を行うことにより、商品の提供までの時間を短縮したり、無理のないシフト編成を図ったりすることができます。結果的に就労環境の改善につながり、スタッフの定着率の向上を促すことも可能です。マニュアルの作成経験など、業務の改善に携わった経験がある場合は積極的にアピールしてみましょう。

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