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2016〜2017 はたらいくの転職市場予測

販売・接客の市場動向

大型商業施設のオープンラッシュで人材需要増。インバウンド消費の拡大により求人数も増えています。


販売・接客業の転職市場予測

景気と密接に関わる販売・接客業は、2016年も引き続き求職者より求人数が多く、人材水準が高い職種です。2016年新卒の求人倍率は1.73倍で、採用人数が当初の計画に届かず人手不足する事態も見込まれ、積極的に中途採用に取り組む企業が多くなると予想できます。販売・接客業の転職市場が活性化している要因は他にもあります。まずは都市部や観光地に訪れる外国人客による「爆買い」で、飲食や宿泊やショッピング分野のインバウンド消費が拡大している現象です。加えて郊外には大型商業施設・ショッピングモールが続々とオープンし、店長や店舗スタッフ、複数店舗のマネジメントを担うSV(スーパーバイザー)の募集も行われています。業界内のワークスタイルの変化に注目すると、百貨店などを中心に給与見直しや営業時間の短縮を実施して、優良な人材の囲い込みを目標に掲げています。大手アパレル企業に導入された「地域限定社員」制度も今後増える見込みで、業界全体がより働きやすい環境を実現するためにチャレンジしている状況です。実店舗とEC(電子商取引)サイトを融合させるオムニチャネルに注力する企業も増えて、スタッフ自らが情報発信者になる変化も見られます。ただモノを売るだけではなく、顧客中心の販売・接客を促進するための担い手を確保することが業界全体のビジョンです。


販売・接客業務に活かせる経験

販売・接客業への転職を希望する場合、同じ業界での販売・接客経験があることが理想です。どのような企業やブランドで働いてきたのか、店舗の規模、従業員数、売上・実績を具体的にアピールすると信ぴょう性が高まり評価されやすくなります。前職ではどの範囲の業務まで担当していたのか、商品陳列や仕入れ、スタッフ教育などの経験もあれば採用担当者に伝えて、入社後に「何ができるのか、何をしたいのか」をアピールしましょう。販売・接客に限らず、営業やサービス系出身であれば実務レベルの顧客対応経験も活かせます。20代半ばで実務経験が短い人や未経験者の場合は、就業先の研修やOJTなどを通して短期間で販売・接客業務を学ぶ姿勢が求められます。30代〜40代の応募者には店舗運営に欠かせないリーダーシップや交渉力も要求されるため、過去の経歴からマネジメント力を発揮する意欲をアピールしていきましょう。2016年の傾向としてインバウンド消費や将来を見据え、多国籍な店舗づくりを実現するために語学力を求める求人も増えてきています。
転職活動は販売・接客業の現場と同じで、一方的な売り込みでは採用担当者の心は動きません。自分自身を商品に置き換えて、企業側に「ぜひあなたと一緒に働きたい」と思わせる自己PRを考えてみましょう。


販売・接客業で求められる人物像

販売・接客業では、企業理念やブランドに深く共感し、企業が世の中に伝えたい思いを体現する姿勢が重要視されます。お客様に商品・サービスの良さを言葉で伝えるためには、まず自分自身がファンになり、商品の魅力を知り尽くしていなければなりません。お客様が納得して商品を購入できるように、知識を身につけてトレンドを追い続ける勉強熱心さが求められます。お客様との関わり合いについて言及すると、販売・接客の仕事には高いコミュニケーション能力も必須です。お客様の反応を見逃さずにニーズを掴み、どのような商品を欲しがっているのか、どうすれば購入後に満足していただけるかを考え、的確なアドバイスをする提案力が求められます。
また、販売・接客業では短い時間の中でお客様と信頼関係を築き、リピーターになっていただくこともミッションの一つです。人と話すことが大好きで常に笑顔を忘れずにいること、お客様の立場から物事を考える思いやりの心も、プロの販売・接客員に要求されます。マーケティング戦略の視点から見ると大手を中心に小売各社はEC部門との連携も急いでいるため、インターネットを活用した新しい販売・接客の在り方を取り入れる柔軟性も必要です。

今注目のキーワード

インバウンド需要

インバウンド(inbound)とは「外から入ってくる」という意味で、訪日外国人による消費行動を「インバウンド消費」と呼んでいます。特に中国では大幅な経済成長の影響で所得水準が上がり、日本を訪れる旅行客の数と日本国内での消費額が急増しました。日本政府観光局のデータによると、東日本大震災があった2011年には訪日外国人の消費総額が1兆円を切りましたが、2015年には3兆4771億円を記録して過去最高になりました。日本の大手小売も観光客を受け入れるために、免税対応店を増やす、外国語を話せるスタッフを常駐させる、中国元や台湾ドルなど外貨対応のレジを導入するといった対策を急いでいます。大手企業の取り組みに注目すると、ドラッグストア大手は2016年3月期末までに免税店を200店舗(前期比7割増)に拡大すると発表しました。政府も2020年に向けて訪日外客数を年間3000人、消費市場を4兆円に引き上げると宣言しています。

働く環境改善

年中無休の店舗が増える販売・接客市場で注目したいのは、働く環境改善に乗り出す企業の取り組みです。顧客を囲い込むために営業時間の延長や店休日の縮小を実施していた百貨店などでは、社員らの拘束時間が長く、働く負担が大きいことがかねてより課題になっていました。サービスの質の低下を招く事態を懸念し、最前線で働く社員たちのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を保つためにも環境改善が重要視され、対策を打つ企業が増えています。2016年1月には大手百貨店が元旦から2連休を設けて、百貨店の目玉となる初売りを1月3日からスタートさせたことが話題になりました。働く環境づくりに関して情報収集していくと、販売・接客業ではライフスタイルに変化のある女性をサポートするために、産休・育休、時短制度の実績をアピールする求人も多く見られます。

地域限定社員

地域限定社員とは「エリア限定社員」とも呼ばれる、転勤のない正社員登用です。2013年のアベノミクスの成長戦略で「限定正社員」という制度が推奨され、地域限定社員のほかに、職種が変わらない職種限定社員、残業のない勤務時間限定社員などの多様な働き方が広まってきました。地域限定社員に関しては、小売業を中心に導入が進んでいるという背景があります。その理由は、企業側の「優秀なベテラン販売・接客員の流出を防ぎたい」というニーズと、育児や介護などを理由に「できれば転勤はしたくない」と考えている従業員の要望がマッチしたためです。事例を挙げると、2007年に大手アパレル企業が店長までキャリアアップ可能な地域限定社員制度の運用をスタートさせています。

大型商業施設

2016年以降も大型商業施設のオープンラッシュが続きます。2016年3月には新宿旧南口に新商業施設がオープンし、30代〜40代をターゲットにした約100店舗が入ります。銀座にも数寄屋橋交差点に大型商業施設が開業して、日本初上陸のテナントや免税店で構成された約125店舗の出店が決まりました。六本木や横浜のみなとみらい21新港地区などにも新たなランドマークが作られ、販売・接客業のスタッフ募集も増加すると予想できます。東京23区以外ではファミリー層を対象にしたショッピングセンターの競争も激しくなっています。新規施設との差別化を図るために、リニューアルを実施して新規店舗を呼びこむ既存施設が目立ってきました。観光地や郊外にあるアウトレットモール市場も活発です。日本ショッピングセンター協会によると国内にあるアウトレットモールは37箇所(2016年2月時点)で、モール内には日本国内からの利用者に留まらず訪日外国人の姿も増えています。

オムニチャネル

オムニチャネル(omni channel)とは店舗やカタログ、インターネットなどあらゆるチャネルから顧客にアプローチする戦略です。近年ではスマートフォン1台あれば時間と場所を問わずに買い物ができるようになった顧客の変化を考慮して、大手企業を中心に小売店各社は「誰に、どのように買ってもらうか」という購買行動の分析に力を入れてきました。店頭ではタブレット端末を使用しながらインターネット上でお客様の購入履歴を確認し、より効果的な接客・販売を行うなどのアプローチ方法も身近になっています。お客様に向けた情報発信の方法として、メッセージアプリを活用してセール情報や新商品入荷のニュースをリアルタイムで送るブランドも増えてきました。新作アイテムのスナップ写真やコーディネート写真をスタッフ自らが投稿するなど、購買促進の在り方も多様化しています。

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