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2016〜2017 はたらいくの転職市場予測

建設・土木・製造の市場動向

建築・土木では施工管理を中心に人手不足が深刻化し、有資格者の確保が課題となっています。


建築・土木・製造の転職市場予測

建築・土木業界では、東日本大震災からの復興需要や公共事業投資の復活、都市部でのマンションの建設ラッシュが続き、活況を呈しています。厚生労働省の調べでは、2016年1月の求人倍率は建設の職業が3.33倍、土木の職業が3.05倍、生産工程の職業で1.14倍と高水準です。
建築業界では、地価の高騰により、新築物件の取得費が上昇していることから、老朽化した建物の改修やリノベーションの需要も高くなってきました。合わせて人材のニーズがさらに高まりをみせています。オフィスビル関連では、電気や空調・配管などの設備管理やメンテナンスに関わる業務も需要が多いです。
土木の分野では、1960年代の高度成長期に整備されたインフラの老朽化対策が急務となり、本格的な補修や改修が必要な時期に差し掛かっています。例えば、首都高速道路をはじめとする道路の老朽化が問題視され、水道管の破裂事故が懸念される上下水道、建設後50年を経過する橋梁への対策が必要です。
特に人材のニーズが高いのは施工管理です。2010年までの数年ほど公共工事の減少から積極的な採用を行なっていなかったことや、団塊の世代の技術者が大量に退職したことも背景にあります。採用を控えていた年代にあたる25歳〜35歳の人材不足が特に顕著です。
建築・土木で転職を考えている人にとって、人材不足が続くことが見込まれる2016年は、好条件での転職を図るチャンスといえます。企業規模や給与面で条件アップを目指すうえで狙い目になります。
製造では、2016年1月の転職求人倍率で、品質管理や品質保証、認証や品質分析は1.18%、生産管理や生産管理コンサルタントは1.0%と、ともに微増となっており、製造では堅調な求人傾向です。


建築・土木・製造の課題

建築や土木の現場では、法的にも有資格者の存在が不可欠であり、建築士や施工管理技士の資格の所持、及び現場経験が重視されます。しかし、人材不足の解消のため、教育や研修制度の充実化を図る企業が増えており、改修やリノベーションの業界では有資格者を必要としない工事を中心に未経験者も受け入れる動きがあります。

建築や土木を専門的に学んでいない方の場合、未経験者を歓迎する求人が狙い目です。転職後に仕事をしながら実務経験を積み重ねて、国家資格取得やキャリアアップのチャンスも掴めるでしょう。


建築・土木・製造で求められる資格や人物像

建築・土木業界では即戦力となる優秀な人材の確保を急務としていますが、採用活動において求職者に求めているスキルのハードルを下げているわけではないのが実情です。建築・土木業界では、実務において法的に設計や現場管理に資格者が必要なだけではなく、公共工事の受注には所属する有資格者の数が影響します。建築では1級建築士や1級建築施工管理技士、土木では1級土木施工管理技士の資格を取得することで、採用のニーズが高まります。資格の有無は、転職の際の給料だけではなく、就業後の昇進・昇給にも影響しますので早期の取得が望ましいでしょう。
建築・土木仕事は、チームワークを重視して行動できる人材が求められます。特に、施工の現場では、スケジュール管理や安全管理、品質管理を進めていくうえで、協力業者と信頼関係を持ち、円滑な関係が築けなければ業務の遂行が難しくなっていきます。さらに職人をまとめあげるために、集団の中心者になれるリーダーシップも必要とされます。
製造の仕事に関しては、ライン作業ではコツコツと仕事をこなす正確性が求められます。資格がなくとも本人のやる気を重視して採用される場合もあるため、書類審査や面接で担当者にアピールしていきましょう。

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インフラ老朽化対策

高度経済成長期の1960年代に構築されたインフラの老朽化が問題視され、国を挙げて対策が進められています。ここ数年、鉄道の架線設備の老朽化による事故や水道管の破裂など、市民生活にも大きな影響をきたしています。今後は道路や港湾、空港のメンテナンスに掛かる維持管理費が増大していくことも懸念材料です。さらに、国の管理下にあるインフラだけではなく、市町村が管理する道路や橋梁の老朽化も進むなど、老朽化対策が必要なものが膨大なため、不要なインフラの整備も議論が必要とされています。インフラ老朽化対策工事で公共工事の発注が増加することは、土木業界全体だけではなく、景気にとって上向きの刺激になることも期待されます。

情報化施工

情報化施工とは、土木施工の現場でICT( Information and Communications Technology)といわれる情報通信技術を取り入れて、生産性や品質の向上を図ることをいいます。設計から施工への情報伝達を電子情報で行うことで、資材調達や生産管理を効率化するとともに、施工データを品質管理に活用し、管理や検査の迅速化と均一化をすることが目的です。例えば、堤防工事において、携帯の電波を使って全自動ブルドーザーを3D設計図に基づいて遠隔操作するといった取り組みが行なわれています。土木の分野ではこれまでIT化が遅れているとされてきましたが、これまで職人の勘で行われていた作業が、情報化施工によってデータに基づいた正確性のあるものに変わっていこうとしています。

施工管理

建築や土木で施工管理は、設計図書に基づいて施工計画を立案した後に必要な資材や工事を発注し、施工現場で工期を管理するとともに、品質管理や安全管理を行なっていく仕事です。実際に工事の作業を行なうのは協力業者の作業員ですが、現場全体の責任を負うのはゼネコンの施工管理担当者になります。安全基準を守らない作業員に対して是正を促すのも、施工管理の役割です。炎天下での工事も行われるため、肉体的にはハードですが、建物やダム、橋梁などができあがったときの達成感から大きなやりがいを感じられます。土木業界は大手企業を中心に海外展開を図っているため、アジアや南米、中東での仕事もあり、海外で働きたい人にも向いています。

リノベーション

リフォームは老朽化した建物を修繕し、元の状態に戻すことを目的とするものです。一方、リノベーションはリフォームよりも大規模な工事によって、新築時よりも性能を高めて付加価値をつけることをいいます。リノベーションに該当するものとして、耐震性能を高める、デザイン性を向上させる、家族構成やライフステージに合わせて間取りを変えるといったことが挙げられます。中古物件を購入してリノベーションをすると、新築物件の取得よりも費用を抑えられ、嗜好に合った住まいとできることが注目される理由の一つです。また、オフィスビルから住宅への転用、あるいは倉庫からオフィスへの転用など、建物の用途を変えるリノベーションはコンバージョンと呼ばれています。

技術者不足

東日本大震災の復興事業や公共工事の増加、住宅市場の活況によって、建築や土木の技術者不足が深刻化しています。技術者不足の背景には、公共工事の減少と不況により2010年頃まで採用を控えていたことと、厳しい環境下での仕事を今の若者たちが敬遠することの2つの側面があります。大学で建築や土木関係の学科を卒業しても、他の業界へ就職する人や公務員を目指す人もみられました。その結果、特に施工管理では人材不足が常態化してきました。近年では大手ゼネコンを中心に労働環境の改善が図られており、女性の活躍推進のために、積極的な女性社員の採用も進められています。一方では今後数年で建設や土木工事の人手不足は解消し、働きやすい環境づくりへの取り組みも一段落するという見方もあります。

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