全国の求人・転職 > 2016〜2017 はたらいくの転職市場予測 > 編集・クリエイターの市場動向
景気回復を受けて人材需要も高まっていますが、厚生労働省の「職業安定業務統計」によると2016年1月の「その他の専門的職業」の求人倍率は0.76倍で、あまり高い数値ではありません。しかし、とくに編集・クリエイターの求人需要が高まっている分野が2つあります。ひとつは、求人広告を制作するための関連職種です。特に求められているのは、求人ライターとクリエイティブデザイナーの仕事で、求人需要そのものは以前よりも高い水準になっています。求人広告を制作する案件が増加しており、魅力的な広告を制作できる人材が求められています。
もうひとつは、キュレーションサイトやオウンドメディアなどのWEBコンテンツの制作です。現在、自社でWEBメディアを運営している企業は、検索エンジンのSEO対策として文章コンテンツを充実させるようになってきています。新たな情報を発信するために質の良いコンテンツが大量に必要となるため、WEBコンテンツを制作できる人材へのニーズが高まっています。2016年以降もこの傾向は続くと考えられています。WEBコンテンツ制作のなかでも求められているのが、いわゆる「バズる」記事を書けるライターです。多数のメディアで取り上げられて話題になるような記事を作ることができる人材への需要は、高い水準が続くでしょう。
今後のトレンドとしては、動画制作のニーズが高まると予想されています。WEB広告でもバナー広告やテキスト広告に代わって動画広告が増えてきているため、動画制作の仕事は増加傾向になるでしょう。あるWEB広告代理店では、今年を動画広告元年として位置づけ、積極投資を行っているほどです。これまでテレビやマスコミ、アニメといった業界が主流だった動画制作ですが、今後はWEB広告の分野にも広がりをみせそうです。
編集・クリエイターの転職は、前職での経験を問われる場合が多くなっています。とくにデザイナー系の職種の場合、実際に作成できるコンテンツのクオリティを問われることが大半です。デザインの知識だけでなく、PhotoshopやillustratorといったAdobe製品を使える技術、HTMLやCSSだけでなく、PerlやJavaScriptなどのプログラミング言語といったWEBコンテンツの制作に関する知識を持っていると、選択肢の幅が広がるでしょう。今後は、動画制作の技術や知識も強みとなりそうです。編集者やライターの場合は、必ずしも経験がなくても、ほかの業界で培った知識や、趣味の知識が役に立つことがあります。「元SEのテクニカルライター」のように、専門知識を武器にすることもできるでしょう。
なお、需要の高い求人広告の製作はニッチな分野なので、経験者が優遇されることに変わりはありませんが、未経験者を受け入れる企業も多くなっています。
編集・クリエイターは、時代の最先端の流行を把握しておくことが重要です。特にネットに関わる職種の場合は、どんどん新しいものを取り入れる好奇心の強さや、常に新しい技術や話題を探す感度の高さが必要になるでしょう。「バズる」内容の記事を作成するためには、SNSで流行している話題にも敏感になる必要があります。需要の高い求人広告制作の場合、編集者やライターには、取材やインタビューで相手の仕事の魅力を引き出すヒアリング力が要求されます。また、取材内容から企業の魅力を引き出すための編集力とコピーライティング力も必要です。クリエイティブデザイナーの場合は、インタビューによって明らかになった魅力をビジュアル的に表現する発想力が重要になるでしょう。
編集・クリエイターは比較的自由なスタイルで仕事ができる業界であるため、締め切りなどスケジュール管理をしっかり行える人が向いています。ものづくりに対する意欲がある人や、クリエイティブな仕事をしたい人、自由に仕事をしたい人が活躍できる職種であるといえます。
近年では動画投稿サイトが人気を集めました。スマートフォンの普及によってどこでも手軽に動画が見られるようになったことと相まって、インターネット配信用の動画制作需要は増大しています。また、2016年のトレンドとして、WEBコンテンツの動画化が挙げられます。動画そのものの配信だけでなく、広告やマニュアルなども動画化される傾向にあり、この流れは今後も続いていくと考えられています。動画制作には素材となる動画はもちろん、効果音やテロップなどを使用した効果的な動画に仕上げるための編集ソフトと編集技術が必要です。動画編集にはデザイン的な要素も含まれているため、動画ソフトを使用できるデザイナーや編集者は大きなアドバンテージになるでしょう。
ヒアリング力は、記事作成のためのインタビューに必須のスキルです。ヒアリングでは、単に相手の話をよく聞いて上手にまとめる、ということだけではなく、相手から必要な情報を引き出すために、的確な質問を最適のタイミングで投げかけることが要求されます。話の流れを断ち切ってしまう的外れな質問や、初対面の相手との関係性が構築される前から踏み込んだ質問をしてしまうと、相手も戸惑ってしまい、インタビューの中で魅力的な情報を引き出せないことがあります。相手が話しやすい雰囲気を作り出し、話がうまく膨らむように誘導することも、ヒアリング力の一部だと言えるでしょう。相手に「話したい」と思わせるような質問をするには、経験を積むことも重要です。
オウンドメディアとは、企業が自社で運営するメディアのことです。この「メディア」という定義には、WEBサイトやECサイトはもちろん、自社発行の会報誌や冊子といった紙媒体も含まれます。オウンドメディアは、ペイドメディア(広告)、アーンドメディア(SNS)との三本柱と定義されます。オウンドメディアでは、広告では伝えきれない自社商品の詳細な内容やメリットを伝えるのに適しており、SNSとの連携によって情報を拡散することも容易です。また、検索エンジンのSEO対策としても注目されているメディアです。顧客にとって良質なコンテンツを充実させ、有益な情報を掲載することで、検索上位にランクインさせることができるとされています。そのため、現在はオウンドメディアを運営する企業がこぞって自社コンテンツを充実させる傾向にあります。
現在オウンドメディアやキュレーションサイトを運営する企業では、独自性のあるコンテンツや他社と差別化できるコンテンツを作成するためのライティングニーズが高まってきています。顧客からの評価が高いサイトがSEO対策としても有効であるため、このようなトレンドが生まれているものと考えられます。
特に需要が高いのが、不動産や美容、保険、法律といった、専門知識が求められるコンテンツです。各分野の専門知識を持ちながら、一般の読者にも分かりやすい記事を作成できるライターを求める企業が数多く見受けられます。様々な業界での勤務経験がある、もしくは、ファイナンシャルプランナーやソムリエなど、専門的な資格を取得しているライターへのニーズは、今後ますます高まっていくことが予想されます。
UI/UXデザインとは、ボタン配置などに代表されるユーザーインターフェース(UI)と、操作体験(UX)をデザインすることです。UIは、端的に言えば、ユーザーが操作する画面に表示されているものすべての総称を指します。操作性を高めるためには、画面に表示される画像や映像の色、配置、大きさなど、様々な要素を総合的にマネージメントする必要があります。そういったものをデザインするのがUIデザインです。一方、完成したUIを使って操作する体験の全般をUXと呼び、ユーザーの「体験」そのものを示します。ユーザーに心地よい体験をしてもらい、サービスを継続利用してもらうためには、使いやすい=操作性の高いUIが必要です。UIとUXは表裏一体の存在であり、どちらの満足度も高めることによって、ユーザーにとって快適なサービスをデザインしていきます。