全国の求人・転職 > 2016〜2017 はたらいくの転職市場予測 > 医療・介護・福祉の市場動向
医療・介護・福祉の業界は景気に左右されにくいですが、慢性的に人手不足の問題があります。厚生労働省の「一般職業紹介状況」では、2016年1月の介護関係職種の求人倍率は2.44倍となっており、引き続き転職者にとって有利な状況が続くと見込まれます。ヘルパーや介護福祉士、ケアマネージャー、看護師など多くの施設で人材ニーズがあります。なお、厚生労働省の調査によると、2025年には250万人近くの介護職員が必要とされています。2020年には20兆円まで拡大される見込みであり、2025年には800万人もの団塊の世代が75歳を迎える「2025年問題」も待ち受けています。診療報酬の改定も在宅にシフトしつつあり、在宅には介護施設も含まれるため、サービス付き高齢者専用住宅などの施設は引き続き増えるでしょう。独居高齢者の増加にともない、保険外サービスも需要を伸ばしつつあります。保険外のため、介護保険は適用されませんが、痒い所に手が届く便利なサービスは2016年も成長が期待できます。また、2015年度の補正予算を利用し、介護ロボット導入の助成が行われることも決まりました。今後は人手不足を補うために、介護ロボットを導入する企業も増えてくるでしょう。これまで重労働であると言われていた介護の現場が、ロボットにより変わる未来も遠くないかもしれません。
医療・介護・福祉の業界では、保健師・看護師・ケアマネージャー・介護福祉士・社会福祉士などの資格・経験があると有利です。2016年も売り手市場ではありますが、担当した利用者の病状や工夫したこと、教育の実績などもあればなお良いでしょう。有資格者・経験者が有利である一方、慢性的に人手不足な医療・介護・福祉の業界では、未経験者歓迎の求人も珍しくありません。医療事務や介護など資格・経験がなくとも応募可能な求人は多く、未経験者であってもチャレンジしやすい業界であるでしょう。特に介護・福祉の分野では、意欲やコミュニケーション能力を重視する求人も多く、例えば、営業や接客、コールセンターなどで培ったコミュニケーション能力や忍耐力が活かせる業界です。業界全体で人手不足ではありますが、仕事の大変さから離職率も低くありません。このことから、やる気と忍耐力のある人材は歓迎される傾向にあります。これまでの経歴から、自分のやる気や忍耐力をアピールできるポイントがあればまとめておきましょう。また、有資格者がいることで点数が加算されるため、資格取得をバックアップしてくれる企業も少なくありません。明確なキャリアプランやビジョンがあるのであれば、ぜひアピールしましょう。
後期高齢者医療が在宅にシフトしていくにあたり、これまで以上に人柄やコミュニケーション能力が求められることもあります。医療の分野においては、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリなどで、他法人との連携も必要となってきます。顧客獲得のためにも、他法人と円滑な関係を築くことは必須と言えるでしょう。ご家庭を訪問するサービスにおいては、病院以上にご家族から担当者のことをよく見られています。礼儀正しさなどのエチケット面もご家族からチェックされているポイントです。特に自費で受ける保険外サービスなどでは、自社のブランド性や理念に見合う人柄を求めているところも少なくありません。また、認知症の高齢者に対応する場合には、忍耐力と根気強さも必要となるでしょう。聖人君子である必要はありませんが、一般的な礼儀をわきまえ、人当たり良くコミュニケーションが取れる人材は重宝される傾向にあります。未経験可の求人は多くありますが、どの分野においても就業後はスキルを身につけていく必要がありますので、研修に積極的に参加する姿勢や向上心のある人材も必要とされています。なお、医療・介護・福祉の仕事は、サービス業の1つです。職場選びをするうえで、自分が好感を持ったスタッフの雰囲気を参考にするのも良いでしょう。
潜在看護師は70万人を超えるといわれるほど、看護師不足は深刻化しています。看護師が退職する理由の多くが結婚・出産・育児、そして労働の過酷さです。潜在看護師を復職させる試みとして、ブランク明けのサポート充実や、家庭や育児との両立がしやすいようワーク・ライフ・バランスを実現しやすい待遇を整えた職場も増えつつあります。外来・病棟・クリニックでの勤務だけでなく、介護施設での勤務やコールセンターでの相談業務など、看護師を必要とする求人は多く、2016年も売り手市場が続くでしょう。看護師としてキャリアアップを可能とする求人から、看護師資格を活かした看護師以外の働き方ができる求人まで、生活や体力に合わせた多様な仕事選びができます。
サービス付き高齢者向け住宅とは、サ高住などと呼ばれることもある高齢者向けの賃貸住宅のことです。買い物や食事などの生活援助の他、介護やリハビリ、医療処置などのサービスを受けることができます。受け入れる高齢者の介護レベルは、施設にもよりますがおおむね軽度です。具体的には、要支援から軽度の要介護程度であり、重篤な症状の利用者は入居しません。初めて介護施設の仕事に挑戦するのであれば、比較的敷居が低くチャレンジしやすい職場であると言えるでしょう。2016年も、2025年問題に向けて高齢者向けの住宅サービスは増え続けています。2025年問題が終わったあとには、団塊ジュニアと呼ばれる世代の方々が介護を必要とするため、向こう50年は需要の大きな業界になると見込めます。
医療・介護・福祉は、2025年に向けて勢いのある業界です。定常的に人手が不足しがちであるため、他業界に比べて未経験者への門も広く開かれているでしょう。求人によっては、無資格でも応募可能なものがあります。これまでの経験を活かして新しい分野にチャレンジしたい人、より社会に貢献できる仕事への転職を希望している人にはチャンスをつかみやすい業界です。また、施設や病院に有資格者がいることによって追加予算が取れるため、資格取得を積極的に応援してくれる職場も少なくありません。未経験からのキャリアアップも実現可能であり、患者さんやサービス利用者とコミュニケーションを取りながら知識と経験を積んで、手に職をつける働き方も目指せます。
介護ロボットとは、介護の負担を軽減し、業務を効率化するために作られたロボットです。経済産業省と厚生労働省は、2013年度より8つの介護ロボットを重点分野として開発を推進しています。その8つとは、移乗介助機器(装着型・非装着型)、移動支援機器(屋内型・屋外型)、排泄支援機器、入浴支援機器、見守り支援機器(施設型・在宅型)です。介護ロボットの開発・導入を推進する裏には、2025年問題に向けて介護職のイメージアップに伴う人材の確保や介護離職を減らしたいという目的もあります。介護ロボットを施設や家庭に導入するにあたり、補助金制度が開始されている他、介護ロボットを導入したモデル事業も始まっており、今後さらに介護ロボットの活躍が期待されます。
保険外サービスとは、介護保険の対象外(自費)で受けられる各種サービスのことです。サービス内容は、通院や外出の付き添い、買い物・家事・ペットの散歩代行、訪問看護、訪問リハビリ、24時間の付き添い看護・介護、配食など多岐にわたります。一人暮らしの独居高齢者だけでなく、家族はいるけれども日中は一人になってしまう日中独居高齢者も増えており、保険外サービスのニーズは今後さらに拡大していくでしょう。若手からシニアまで求人の幅も広く、パートなど短時間の働き方も可能です。看護や理容など、資格の必要な求人もありますが、資格・経験不問の求人も多く、採用にあたっては人柄ややる気、会社の理念に共感できるかどうかなどが重視される傾向にあります。